必須記載項目
コマーシャル・インボイスは通関の主要書類。税関は本書類に基づき課税価格を決定し、品目分類と税額を確定する。パッキングリスト・B/L・L/Cと整合していること——不一致は留置の引き金になる。
| 項目 | 必須 | 記載要領 |
|---|---|---|
| 売主(輸出者) | 必須 | 法人正式名称+所在地+税務/VAT/EIN登録番号。登録情報と相違する場合、屋号のみでは受理されない。 |
| 買主/荷受人(Consignee) | 必須 | 輸入申告者と完全一致させる。荷受人と輸入者が異なる場合は両者を役割明示で併記。 |
| インボイス番号 | 必須 | 売主の帳簿内で一意。連番が望ましい。重複番号は税関システムで弾かれる。 |
| インボイス発行日 | 必須 | 発行日であって船積日ではない。B/L上の船積日と同日もしくはそれ以前であること。 |
| 品名(Description of goods) | 必須 | 一般人が識別できる商業用語で記載する。「Electronics」「Spare parts」では一般的すぎる——具体的な品名(例:「Lithium-ion battery cells, 18650 cylindrical, 3.7V 2600mAh」)を記載。 |
| HSコード | 必須 | 最低6桁。判明している場合は8桁/10桁の国別細分まで記載。パッキングリストとのHS不一致は留置の最多原因。 |
| 原産国(Country of origin) | 必須 | 実質的変更が最後に行われた国——組立地や船積国ではない。FTA、AD/CVD、§301等の税率に直結する。 |
| 数量 | 必須 | 個数(pcs/sets/pairs)と重量(純重量+総重量、kg単位)の両方を記載。 |
| 単価 | 必須 | 取引通貨で表示。実際の契約価格を四捨五入し、合計額からの逆算は不可。 |
| インボイス合計額 | 必須 | 通貨をISO 4217の3字コードで明記(USD、EUR、CNY)。送主・受主が異なるドル圏に属する場合、裸の「$」は避ける。 |
| Incoterms 2020 | 必須 | ICC11規則のいずれか+指定地。「FOB」単独ではなく「FOB Shanghai」と記載。指定地により危険負担の移転点が確定する。 |
| 支払条件 | 任意 | T/T、L/C、D/P、D/A。支払条件が課税価格に影響する場合(ロイヤルティ、後払調整等)は必須。 |
| 運送書類番号 | 任意 | インボイス発行時点で判明していればB/L番号またはAWB番号を記載。後日アデンダムで追加する例も多い。 |
| 署名 | 必須 | 授権代表者——記名+役職+自署または電子署名。仕向地によっては原本のウェットインク署名が必須。 |
よくあるミス
税関がチェックするポイント
- 一般的すぎる品名(「electronics」「hardware」)で、ライン単位の品目分類ができない。
- インボイス上のHSコードがパッキングリストやB/Lと食い違う。
- 実質的変更が第三国で起きているのに、原産国を船積国(「China」など)と表記している。
- Incotermに指定地を付けない——「FOB」のみでは危険負担の移転点が不明確。
- 計算誤り:行小計 ≠ 単価×数量。税関システムはチェックサムを取る。
- 通貨が「$」「¥」のみで、ドル圏や円/元の区別が付かない。
- 署名欠落またはコピーのみ——一部仕向地は原本ウェットインクを要求。
実務メモ
迷ったらインボイスをパッキングリストと行単位で突合し、出荷前にフォワーダー/通関士のレビューを通す。出荷前修正のコストはほぼゼロだが、CBP・税関の留置は日数とデマレージで本当に高くつく。