2026-10-13 訂正: EU 2023/959 と EU 2025/2083 に基づき、無償割当の廃止割合、関連する試算額、年間の免除基準を訂正しました。
2026年第2四半期のCBAM証書価格は7月6日に公表される。今日から38日後だ。
第1四半期の価格はCO₂ 1トン当たり €75.36。今年の調整係数は2.5%なので、資金面への影響は小さい。輸入鋼材1トン当たりのCBAMコストはおよそ €1〜€4 にとどまる。ただし、7月6日に見るべきものは一つの数字だけではない。価格が「どう動くか」が焦点になる。
無償割当の廃止割合は、2026 年 2.5%、2027 年 5%、2028 年 10%、2029 年 22.5%、2030 年 48.5%、2031 年 61%、2032 年 73.5%、2033 年 86%、2034 年 100% です。EU 2023/959 に定められた無償割当の残存割合を 100% から差し引いた値です。
年間の免除基準は、輸入者ごとに対象のセメント、肥料、鉄鋼、アルミニウムの暦年中の輸入純重量を合算して 50 トンです。50 トン以下は免除されますが、超えた場合は、認可申告者の資格取得を含む CBAM 義務がその年の対象輸入全体に適用されます。電力と水素はこの免除の対象外です。EU 2025/2083
7月6日に注目すべき三つの数字
一つ目は、第2四半期の証書価格そのもの。 欧州委員会は前四半期のEU ETSオークション価格の平均を使う。EU ETS先物は現在 €82〜€88 で取引されており、第2四半期の価格は €80〜€90 の範囲に収まる可能性が高い。€90 を超えると、係数が2.5%でも第3四半期納入分の契約価格に影響が出始める。
二つ目は、EU JRCのデフォルト排出係数が更新されるか。 CBAMでは、製品に内包される排出量の透明性を継続的に高めている。7月初めにデフォルト値の改訂版が出れば、鉄鋼・アルミニウム・セメントの排出原単位が5〜10%上がる可能性がある。同じ数量でも、請求額が5〜10ポイント増えるということだ。
三つ目は、EUの買い手が見積依頼に「検証済み排出量データ」を盛り込むか。 CBAMの本当のコストは、税額よりもデータ基盤にある。第3四半期以降、EUの買い手は「第三者による検証済みのトン当たり排出量を提供できるか」を調達条件に組み込むようになる。準備を怠る中国の輸出企業が失うのは一件の注文ではなく、2027年以降のEU向け供給資格だ。
CBAMコスト試算ツールで自社の数字を確認する
DutyTradeの新しいツールは、この課題に直接対応する。計算機を開き、HSの対象分野として鉄鋼・アルミニウム・セメント・肥料・水素・電力を選び、数量と証書価格を入力する。初期値は €75.36。7月6日以降は新価格に置き換えればよい。無償割当の廃止割合が100%に達する2034年までのコスト曲線を確認できる。
具体例を挙げよう。中国の製鉄所がEUに年間50,000トンの熱延コイルを輸出する。BOF製法で、排出原単位は1.85 tCO₂/トンと仮定する。各年の証書価格を €75.36/tCO₂ に据え置き、50,000 × 1.85 × €75.36 × 廃止割合で計算すると、次のようになる。
- 2026年、廃止割合2.5%:年間CBAMコストの試算 ≈ €174,000
- 2030年、廃止割合48.5%:同じ条件で ≈ €338万
- 2034年、廃止割合100%:同じ条件で ≈ €697万
年間数量、排出原単位、証書価格を変えない場合、2026〜2034年の累計CBAMコストの試算は約 €2,851万となる。粗利益を圧迫する金額であり、EUの顧客はほぼ確実に価格への転嫁を求めるだろう。
これは単純化したシナリオの試算であり、ベンチマークに基づく無償割当の調整や、支払い済み炭素価格の控除は含まない。法令上の納付額や実際の支払日程を示すものではない。
6週間の準備を週ごとに進める
第1週(今から6月5日まで): 2025年通年のEU向け輸出を、数量 × HS章 × 工場で棚卸しする。CBAMコスト試算ツールで2026〜2034年の負担曲線を作る。成果物: 取締役会向けの社内資金影響メモ。
第2週(6月6〜12日): 排出量の第三者検証サービスを一、二社選び、見積もりを取る。候補にはTÜV NORD、SGS、Bureau Veritasがある。成果物: 検証予算。
第3週(6月13〜19日): EUの主要顧客上位三社の調達チームと、2027年以降の検証済み排出量データの要件を確認する。成果物: 買い手の要件をまとめた文書。
第4週(6月20〜26日): 工場で内包排出量のデータ収集を始める。EU JRCの原料採取から工場出荷までの評価範囲に沿って収集表を作る。成果物: 稼働するデータ収集工程。
第5週(6月27日〜7月3日): 最初の社内排出量計算を仕上げ、JRCのデフォルト値と比較する。実際の工場排出量がデフォルト値より低ければ、その差が将来のCBAMコスト削減につながる。中国のBOF製法の生産者は通常この条件を満たすが、活用できるのは検証可能な数値だけだ。成果物: 社内計算書とJRC値との比較。
第6週(7月4〜6日): 第2四半期の証書価格の公表を確認する。新価格で2026〜2034年の曲線を再計算し、取締役会向けメモを更新する。成果物: Q2価格公表後の影響評価。
一言で言えば
2026年のCBAMは無料のオプションだ。請求額は小さいが、その下にデータ基盤を築くための時間も短い。データ基盤を一年前倒しで整える工場は、2028年に慌てて対応する工場より、単位当たりのCBAMコストが30〜50%低くなるというのがEU JRCの2024年影響評価の見立てだ。7月6日は支払日ではなく、点検日である。
今日行う三つのこと:
一つ目。CBAMコスト試算ツールに工場の数量とHS対象分野を入れ、2026〜2034年の累計資金影響を計算する。
二つ目。第1週の作業、HSと工場別の輸出棚卸しを今日からプロジェクトとして始める。
三つ目。/updatesの政策フィードを購読する。7月6日にQ2証書価格が公表されたら、二時間以内にフィードへ反映する。